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泣かぬ鼠が身を焦がす

第9章 磯の鮑の


すると、杉田さんが眉を顰める


「それはどういう間柄の人間なんだ?」
「あー……」


なんつーのかな


「命の恩人? てか、友達?」


俺がそう言うと、杉田さんは「そうか」と言ったきり黙ってしまった


「外に出てもいいなら、そいつらに会いに行きたいな!行ってもいいの?」


会いたい会いたい!
つか、話したいことだらけなんだけど


身を乗り出しながら聞くと、杉田さんはまだ眉を顰めたままで


「俺が行ってもいいならな」


と言った


「着いてくんの? なんで? いいけど」
「いいのか?」
「は? 杉田さんが聞いてきたんじゃん」
「そう、だな」


なんか変なの

あ、でも


「会うのはいいけど、俺達が喋ってんの聞かないならいいよ」
「遠くから見てるのは?」
「ははっ、なにそれストーカー? 聞かないならいいよ」


俺の言葉に杉田さんは何故か安心した様子で


「なら、前に約束した飯を食べがてら出掛けるか」


と言ってくれた


「やった! そうじゃん! 美味しいご飯!」


わぁい、と声を上げる俺を見て微笑む杉田さん


なんでか機嫌も良くなってるし
よかった!

楽しみだな

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