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泣かぬ鼠が身を焦がす

第10章 3日飼えば恩を忘れず


杉田さんと出掛ける約束をしてから数日後
いつものように晩御飯を俺と一緒に食べた杉田さんは突然


「明日出かけるぞ」


と言った


「この前のやつ?」
「そう」


やった!
楽しみ!


「ノラが会いたいと言っていた人は、連絡を入れたりしなくていいのか?」
「んー……? いや、入れたことないし大丈夫でしょ」


そもそも連絡できる状況にいたことないんじゃね?
ってぐらいだし


「あぁでも、出来れば夜がいいかも」
「そうか。なら、晩飯のあとに寄ろう」


そう言うと杉田さんは俺の頭にぽんぽん、と2度手を置いて
その日は早々に


「寝るぞ」


と床に就いた


そして、ここに来てから初めての外に出る日がやってきた

これまでの飼い主はどっかでバレたりしないようにって外出禁止とかされてたから本当めずらしい

杉田さんてやっぱ
今までの人とちょっと違うよなぁ


「ノラ、支度終わったか?」


杉田さんは俺より遅くに起きたくせに準備するのだけは早くて、今日着る服にモタモタ着替えてた俺を急かした


「ちょっと待って……っ」


こんな高級な服、着たことないよ!
杉田さんのばか、萎縮するってば

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