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泣かぬ鼠が身を焦がす

第13章 正直の心より


戸惑いよりも、もっともっと深く浸ってしまいたい気持ちになる

麻薬のようだ


そんな風に考えながら純の髪を指で梳いていると、背中から抱いていた純が身体を反転させ上目遣いで俺を見た

どうした、と聞く代わりにじっと目を合わせる

すると蚊の鳴くような小さな声でもぞもぞと何かを言った


聞き取ることが出来なくて「もう1回言ってくれ」の代わりに純の耳を撫でる

そしたら今度は辛うじて聞き取れる程度の声で


「……………………シたい」


と言われた


何を、なんて無粋なこと聞くわけもなく1発で身体が意味を理解してしまう
情けないことに、俺の意識はすぐに下半身に向いて
身体にじんわりと汗までかいてしまった


くそ
そんな可愛い顔で言うな


なんて返せばいいのかと悩む俺に焦れた純は、暫くして


「やっぱいい」


と目を逸らして顔を隠してしまった

拗ねた純の旋毛に唇を触れさせる
耳を撫でていた手を首に持って行って頸をくすぐると「いいって」と手を跳ね除けられてしまった


「俺が良くない。俺もシたい」
「…………俺はいい」
「だめだ。拒否権なし」


きっぱり言い切る俺に「なんで……っ」と純が勢い良く顔を上げる

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