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泣かぬ鼠が身を焦がす

第15章 鼠の志


「置いて行くぞ」
「あ、待ってよ!」


エントランスの奥に入るとオートロックの入り口があって、拓真さんがそれをカードキーで開錠する

自動ドアが開いてすぐにエレベーターホールがあった


「何階?」
「25階」
「うへぇ」


猫となんとかは高いところが好き
のなんとかじゃないよね?


動いてるんだか動いてないんだかわからないぐらい滑らかに動いたエレベーターは、凄まじい速さで俺たちを25階まで運んだ

到着して、少し廊下を歩いた『2503』と書かれた表示の家で拓真さんが再びカードキーを使う


「全部それで開くの?」
「そう。これと、合鍵の2つだけでしか開けられない」
「ふーん、すげー」


カチン、と心地の良い音とともに鍵が開いて、拓真さんがドアを開いた


「玄関からクソ広い……」
「そうか?」
「俺この広さで住めるもん」
「………………流石に無理だろう」


おい、引いたみたいな顔すんな
何畳あんだよこれ

普通に生きていけるわ


「ほら、入れ」
「お邪魔しまーす」


靴を脱いで上がると、マンションとは思えないほどの長い廊下とその両側にいくつも扉があるのが見えた


廊下でも住めるかもしれない

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