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泣かぬ鼠が身を焦がす

第15章 鼠の志


顔を逸らそうにも下から覗かれているとそれも満足に出来ない


ちくしょう
計算してたんじゃないよな?


キスした手をまた自分の頭に運んだ拓真さんは、今度は手の甲で俺の頬を撫でた

静かな部屋で2人きりの時間を過ごす


「……飯は? 腹減ったんだけど」
「もう少し」
「つか、食材あんの?」
「……」


はいはいはいはい
今は全然話す気がないのな

わかったよ


何も言われてなくても雰囲気的に頭を撫でることをやめられなくて、ずっと髪を梳いていた

暫くすると、目を瞑っていた拓真さんがパッ、と目を開く


「よし、飯にするか」
「やっとか。腹減ったー」


ずっと膝枕してたから脚も痺れてるし
拓真さんは満足そうな顔してるけど、俺は逆に疲れたわ


「さっきも聞いたけど、なんか食材あんの?」


さっきも聞いたけど、を強調してみたけど拓真さんは意にも介さず何でもないように返事をしてきた


「ないな」
「ないの? 今から買いに行くとか嫌だよ俺」


すると立ち上がった拓真さんが置いてあった棚の中をゴソゴソ探してる


え、そんなとこになんかあんの?
もしやインスタント?


とか思ってたら、1番予想外なものが出てきた

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