テキストサイズ

泣かぬ鼠が身を焦がす

第15章 鼠の志


くそ
確信犯なのか?


心臓がきゅん、と締まって顔が熱くなってくる

それを悔しいと思いつつも逆らえないのはわかっているから、やけくそのようにわしゃわしゃ撫でてやった

髪の毛はぐちゃぐちゃになったけど、拓真さんは文句の1つも言ってこない

それどころか気持ちよさそうに目を細めながらさっきの俺の質問に返事をしてきた


「ここだけじゃないぞ」
「あぁ?」
「俺が寛げるのは、ここだけじゃない」


へぇ、そうなんだ
まぁそういうところがたくさんあるのはいいことなんじゃねぇの?


と考えながら尚も頭を掻き混ぜ続けていると、突然拓真さんにその手を取られる


「ん、何?」
「知りたい? 俺が他はどこなら寛げるのか」
「……別に」


なんだ、急に
変な質問しやがって


「純が……」
「え?」


俺の名前を呼んだ拓真さんは持っていた俺の手にちゅ、とキスをした


「!」
「純がいるところが、俺が最高に寛げる場所」
「!! なっ、なんだよ、それ!!」


ドラマかなんかで見たようなセリフ言いやがって!

くそ、顔さっきより全然熱い


「照れるなよ」
「照れてない!!!」
「そうか」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ