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泣かぬ鼠が身を焦がす

第16章 馬に蹴られる


そう言って小走りで部屋を出て行ってしまった

俺はとにかくバタバタ椅子から立ち上がって、部屋にある雑誌を漁る


「あった!」


拓真さんが載ってた雑誌を取り出して、インタビュー記事の中にあるプロフィール欄を見た


本当だ
誕生日来週だ……!!!


俺はその場にへたり込む

頭の中に茜さんの赤く染まった顔が浮かんだ


どうしよ

茜さんのこと好き、だけど
拓真さんのことも好きなんだよ

どうしよう
どうしよう


「純?」
「!?」
「どうした?」


突然背後から声をかけられて勢いよく振り返ると、拓真さんが驚いた顔をして立っていた

驚いたのは多分俺のビビリようにだと思う


「何かあったか?」
「あ………………」


言えない、よな


「えと、虫がいて……」
「虫? 苦手なのか?」
「デカいのは、苦手……」


拓真さんは「どこから入ったんだろうな」とぼやきながら俺の方に歩いてきた


「虫は?」
「あ……雑誌で倒しちゃった……」
「そうか。雑誌はそのままゴミ箱に捨てておいていいからな」
「……うん」


俺は拓真さんが載ってたのじゃない、近くにあった別の雑誌をゴミ箱に入れた

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