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泣かぬ鼠が身を焦がす

第16章 馬に蹴られる


俺の話を最初は興味なさげに「そう」「へぇ」とか聞いてたヒトミさんは、茜さんの話になった途端興味深々に聞くようになった


本当に恋愛の話好きだな……
前に相談しに来た時もこんなだったような


「それで!? プレゼント渡すなんて言ったその女にアンタは何て言ったの!?」
「何も……言えなくて……」
「はぁぁぁぁぁぁあ!?」
「……」


何か言わなきゃダメだったんだろうか


俺が出してもらったコーヒーカップを指で弄びながら俯くと、ヒトミさんは乗り出していた身体をソファに戻した


「ほんと、アンタは昔っから臆病な仔猫ちゃんね?」
「そんなピュアじゃないし……」
「あ、でも路地裏にいたんだから猫より鼠かしら?」


話聞けよ……


「そんで? そのことを彼氏の方には言ったんでしょうね?」


彼氏、って……


ヒトミさんの言いように顔を赤らめると、ヒトミさんに大きく溜息をつかれた


「言って、ない……」
「はぁ……やっぱりね」


直後にもう1度溜息をついたヒトミさんはコーヒーに口を付ける


「じゃあ純はどうしたいのよ。その女に拓真さんは俺のものだからって見せつけたいの? それとも拓真さんに純だけだって言って欲しいの?」

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