テキストサイズ

泣かぬ鼠が身を焦がす

第21章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー)


私は「結構です」と言い切って電話を切ろうとしましたが耳を離しても聞こえるほど『待って待って!!!』と叫ばれ、思わずまた電話を耳に当ててしまいました


『お願いします! 昨日は本当、俺どうかしてて……あの後普通に帰っちゃうし、っていや、俺も止めなかったんだけど……』


三村様の話し方があまりに情けなくて


許して差し上げても良いのでは


という考えが頭に浮かんできてしまいます


『とにかく、お願いします。これから一緒に仕事をしていくのに、このまま変な空気のままじゃやりにくいでしょう』
「……」


確かにおっしゃる通りです


『ダメ……ですか?』
「………………わかりました」
『!』


良かった、と電話口で喜ばれる声に私の頬も自然と緩んでしまいます


『じゃあ、すぐ仕事終わらせて電話するからどこかで時間潰してて下さい!』
「わかりました」
『それじゃ、また後で!』


私が電話を切ろうとした時には『待って』と止めた三村様は、有無も言わせぬ早さで電話をお切りになりました


食事を、承諾してしまいました
私はあの手の押しに弱いのでしょうか


私はとりあえず移動だけ済ませようと考えて、三村様の会社の近くへと移動しました

ストーリーメニュー

TOPTOPへ