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泣かぬ鼠が身を焦がす

第21章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー)


とは言ってももうお腹は充分に満たされているので、これ以上食べることは出来ませんが

グラスに入った液体を眺めていると


「満足して頂けましたか?」


と三村様が話しかけてこられました

食事中は私が食事を楽しんでいるのを察してかあまりお話しされなかったので、タイミングを見計らって下さったのでしょうか


「えぇ。本当に美味しかったです」
「それは良かった」


三村様が食後酒に口をつけられ、今度は「あの……」と言い出しにくそうに話し出されました


「はい?」
「この前は、本当にすみませんでした」
「……」


謝罪の言葉と共に、深く下げられる頭

旋毛が見えるほど深く三村様に頭を下げられ、普段なら必死で止めますが今日はその気になれません


謝られて当然のことをされたと思っていますから


「……何故、あのような事をされたのですか? 後で考えてみてわかったのですが、私はあの日あんなに酔うほどお酒を飲んでいません。それに、お酒にはそもそも弱い方ではございません」
「……」
「あの日、もしかして私に何かされましたか?」


三村様が黙って机を見ていらっしゃいます


図星、ということなのでしょうか

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