泣かぬ鼠が身を焦がす
第21章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー)
無理もないでしょうか
突然暴力的になるなんて、予想していなかったんでしょう
ましてや三村様より細身な私に、投げられるなんて
私は地面に落ちてしまっていた自分の鞄を拾うとスーツと同じように汚れを払います
その間も、三村様は放心した様子で私の動きをただ見届けていらっしゃいました
「では、私はこれで失礼いたします」
しかし私がその場を去ろうとすると
「ちょ、ちょっと待てよ!」
と後ろから声をかけてきました
「何でしょうか?」
私が振り向くと、ビク、と揺れる肩
怖がらせてしまったのでしょう
やりすぎましたか
「……」
呼び止めたにも関わらず黙り込んでしまった三村様に、私からお声をかけさせて頂きました
「大変失礼ですが、貴方と今後そういった関係になる気はありません。私はマゾヒストではありませんので、特殊なプレイは他の方となさって下さい」
このことは他言致しませんので、と付け足して最後に
「それから、人を口説くならもっと正面から堂々とするべきです。無理矢理するセックスからなんて、間違ってますよ」
私の体験談ですが
と言い残し、三村様からの返事は聞かずに私はその場を去りました