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泣かぬ鼠が身を焦がす

第22章 一に看病、二も看病

純目線


「ふ、ふへ……っくしょ」


情けない声でくしゃみをすると、直後に全身に鳥肌が立った


うぅぅぅぅうおぉぉぉぉぉ
寒いーーー


外側からの寒さではなくて、身体の芯からガタガタ言う感じ


「大丈夫か?」
「だいじょうぶじゃない」


拓真さんが心配そうに俺の顔を覗き込んでくるが、そんな気遣いに気遣いで返す余裕も今の俺にはない

なぜなら拓真さんの誕生日だったあの日、俺の身体を好き勝手した拓真さんのお陰で風邪を引いてしまったからだ


「ほら、お粥作ってきたから食え」
「布団から出たくない。つーか出れない。寒い」


布団をいくら被っても俺の身体の寒さは拭えない

それなのに頭は全体的にぼーっと熱いから、風邪って不思議だ


まだシーズンじゃない冬掛けの布団に身を包んでガタガタ震える俺に、拓真さんが「ならそのままでいいから」と近づいてくる


「上向いて口開けろ。食べるだけ食べないと薬飲めないから」
「……ん」


もぞ、と動いて口を開けると拓真さんがお粥を掬ったレンゲに息を吹きかけている


ふーふーだ
なんか子供になったみたい


甲斐甲斐しい拓真さんの行動に胸を締め付けられつつ、差し出されたお粥を食べた

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