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泣かぬ鼠が身を焦がす

第22章 一に看病、二も看病


拓真さんが1度俺の頭を撫でてから出て行くと、しんと静まった部屋に1人取り残される


「………………」


なんか
寂しい

っつーか、不安

かも


寒さは少しは治ったものの、まだ悪寒は続いていて

そのゾクゾクがすごく
不安感を煽るっていうか

なんて言うか

上手く言葉に出来ないんだけど
とにかく1人でいるのが嫌


「んーー……」


気持ちを紛らわすためにベッドの上を転がってみるけど、心のモヤモヤは全然晴れない

それどころか余計に寒くなって分厚い布団を手繰り寄せる羽目になった


うわ
俺かっこ悪

風邪如きで泣く、とか


「ぅんんんーーー」


ポロ、と溢れた涙は頬を伝って氷枕を巻いていたタオルに染み込まれていく


悲しいわけじゃない
苦しいわけでもない

それなのにこんなに不安定になるなんて


情けねー

こっからじゃテレビも点けられないし


俺はとりあえず拓真さんが置いていってくれた携帯電話に手を伸ばした


電話……
しちゃダメだよなぁ

別に体調が悪化したわけじゃないし

最近拓真さんに休ませてばっかりでもしかしたら仕事も溜まってるかもしれない

だったら俺が邪魔しちゃいけないよね

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