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泣かぬ鼠が身を焦がす

第22章 一に看病、二も看病


俺はまた意味もない唸り声を上げながら転がった


電話ダメなら
メール……

なら、いいかな

空いた時間に見れるし
気付かれなくても別に構わないし


携帯を操作して、メール作成画面を開く

宛先に『杉田拓真』を呼び出して、本文


寂しい?
いやいや、何言ってんだ

風邪で頭やられてるな、俺


『暇』


俺はそれだけ打って、何も考えずに送信した


いや待てよ、よく考えれば暇って
何言ってんだよ

送らなければ良かったかな


何かとうじうじ不安になるのが風邪なのか、送ってからもうにゃうにゃ考えながらベッドの中で動き回る

そして、数分後


「!」


返ってきた
早い


自分で送ったんだけど、返信が来たことにびっくりして慌ててメールを確認する


『暇なら携帯を弄ってないで寝ろ』


……冷たい!!!


緊張しながら開いた拓真さんの返信のそっけなさにがっかりする


なんだよ!
俺拓真さんが風邪引いてた時優しくしなかった!?

…………いや、しなかった
暴言ばっかり言ってた気がする

仕返しかよ


それでも病人にこの対応は酷すぎる、と


『馬鹿』


とだけ返して俺は布団の中に潜った


もういい、寝てやる……!!

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