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泣かぬ鼠が身を焦がす

第22章 一に看病、二も看病


カチャ、と金属が当たるような音で俺は目を覚ました

薬飲んだ筈なのに、何でか寝る前より頭がぼーっとしてる

でも人が近づいてくる気配が気になって薄っすらと目を開けた


「目が覚めたか?」
「……た、くまさ……?」


声を頼りに拓真さんの名前を呼ぶと、おでこに冷たいものが触れる


これ……拓真さんの手?

いつもはあったかいのに、冷たく感じるって
俺が熱いのか、拓真さんが冷えてんのかなんて考える必要もないな

熱上がったのか


「……熱いな」


やっぱり


拓真さんの声に妙に冷静に納得する俺

でもその冷静さは続かず、すぐに寝る前の不安定さが戻ってきた


「ん…………ぅ……」
「純? どうした? どこか痛いか?」


突然俺が泣き出して、心配した拓真さんがベッドの横に膝をつく


けど目も開かない
首も動かない
すぐそこに拓真さんがいるのに心細くて堪らない


「ゔぇぇ……、えぇ……」


理由も言わずに子供みたく泣く

不安だし
風邪で身体中怠いし


「どうした? 辛いのか? 薬……」


俺が何も言わずに荒れまくってるから慌てだした拓真さんは、薬を飲ませようとどこかへ行こうとする

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