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泣かぬ鼠が身を焦がす

第22章 一に看病、二も看病


だって、伊藤さんにお昼食べさせられたのに嫉妬したってことでしょ?

可愛いな
もう

だからあんな不機嫌だったわけ?


「いつまで笑っているんだ」
「ごめ……ふ、ふふ……」


くすくす笑う俺に、睨む様な強い視線を向ける拓真さん


不味そうに食うなよー
俺のせいだろうけど


結局拓真さんがご飯を食べ終わるまで俺は笑ってて、拓真さんはずっと不機嫌そうな顔をしてた

ご飯を食べ終わると拓真さんは俺の横に寝る
かと思いきや


「え、どこ行くの」
「ソファで寝る。近くで寝てうつったら困るだろ」


は?
なに言ってんの


俺は拓真さんの服の裾を掴んだ


「なんだ?」
「隣で寝てよ」
「だから、うつるだろ」
「知らない。拓真さんのせいで風邪引いたんだし、もう治りかけだし」
「……」


俺は迷ってるように返事に間が空いた拓真さんを力づくでベッドの中に引き込んだ


「おい……っ」


そして、出て行かれる前に拓真さんに抱きついて顔を埋める


「…………やけに素直だな」
「うるさい。…………風邪引くと人肌恋しくなるって言ったのは拓真さんだろ……」


俺の言葉に笑った拓真さんの息が耳にかかった

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