テキストサイズ

泣かぬ鼠が身を焦がす

第22章 一に看病、二も看病


なんで俺、こんなそこそこ元気なのにご飯食べさせられてるんだろ……


「……」


無言で差し出され続けるご飯に、怒られてる様な気がして俺も無言で食べ続ける


全てのご飯を食べ終えると、今度は薬を差し出された


自分で飲める、って言ってもきっとさっきと同じ結果になるよな……


なにも言わずに薬も口に入れられ、ストローの刺さったペットボトルの水を飲まされた


「ぷは……」
「ほら、横になれ」
「う、うん……」


背中を支えられながらベッドに横にされて布団をかけられる

そしたら俺の枕元で拓真さんはご飯を食べ始めた


「…………ねー拓真さん」
「なんだ?」
「何でわざわざご飯食べさせてくれたわけ? 俺自分で食べれたのに」


そろそろいいかな、と思って聞いてみると、拓真さんは暫く無言で箸を動かしていた

そして


「……昼は、俺が食べさせてやれなかったからな」


と小さな声で呟いた


なんだよ……それ……


「笑うな」
「……笑ってない」
「嘘をつくな。笑ってるだろう。布団で隠しただけじゃ目が笑ってるのは見える」
「だって……っ、ふは」


拓真さんが不機嫌そうに食事を再開する

ストーリーメニュー

TOPTOPへ