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泣かぬ鼠が身を焦がす

第26章 嘘八百


「ふざけんなよ……くそ……」


俺はベッドに座り込んだ


拓真さんとの約束なんて、全く守る気ねぇじゃん
俺、本当にもう拓真さんと会えないかも……


「あ、そうだ……メ、メール……」


メールしよう

返信してないのもあったし


連絡さえ取れば拓真さんがなんとかしてくれるかも、と思って携帯を探す

けど


「ない……!? あれ、俺の携帯は!?」


どこを探しても携帯が見つからない


もしかして、取られた……?
俺が風呂入ってる間に?

まさかさっきのお手伝いさん、俺の携帯も回収しに来てたのか……?


「……やられた……」


つまり、あの人たちは本当に何の条件も守る気はない
監視カメラなんてものも嘘

だから、助けてもらえるなんてことは絶対に

ない


俺は絶望感が心を満たすのを感じた


こんなことなら、拗ねてないでメール返しておけば良かった

ごめん、拓真さん


「…………っ」


目頭が熱くなって、目が潤んだ


本当、幸せって脆い

つい1週間前ぐらいまで拓真さんと2人で
すごい幸せだったのに

あっという間だった


母さんと偶然会ってしまってから、崩れ落ちるようになくなってしまった

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