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泣かぬ鼠が身を焦がす

第26章 嘘八百


いいな、この人
何でも話してくれて

いい人そう

ありがたや
ありがたや


俺は部屋に戻って考え直そ、なんて思いつつ部屋に入る

すると、薄っすらと部屋の扉を開けたお手伝いさんが顔だけひょこっと覗かせた


「んぇ? 何か用ですか?」
「あ……の…………」


もじもじと床を見つめるお手伝いさん

暫くそれを眺めて、漸く顔を上げたと思ったら


「純さん……は、何が原因でこの家を出ることになったんでしょうか……っ」
「え?」


なんだ?


「あっ……あぁぁぁあの、違うんですっ……みんなが、色んな噂をしてて、それで……っ」
「そ、そんな焦らなくても大丈夫だから、落ち着いて!」


こっちが焦るわ!


過呼吸になりそうなほどわたわたと喋って何を言っているのかわからなくなったのをなんとか宥めて落ち着かせる


「す、すみません……取り乱してしまって……」
「いや、別にいいんですけど……」


それで


「俺が何でこの家を追い出されたか?」
「は……い、いえ、あの……言いたくないことだったら、大丈夫……なんですけど……」
「いや、いいよ。聞いて」


もちろん全部話したりは出来ないんだけどね
味方は多いほうがいいから

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