テキストサイズ

泣かぬ鼠が身を焦がす

第26章 嘘八百


「俺と母さんは実の親子だけど、父さんとは血が繋がってないってのは知ってます?」
「えっ……そう、なんですか?」


おっと
知らなかったか

って、拓真さんも知らなかったっけ
報道されてないもんな


「そう。父さんは母さんの再婚相手で、俺は母さんの連れ子なんです」
「……」


明らかに驚いた顔

まぁそうか
つーか、どんな噂をたてられてたのか無性に知りたくなってきた

俺と父さんとの近親相姦?
うぇ


「それで、一緒に暮らしてる時に俺にどうしても許せないことが起きて……俺が家出したんです」
「家出……」
「追い出されたんだって思ってたんでしたっけ?」
「あ……すみません……みんな、そう聞かされていましたから……引きこもりの息子を、社会勉強させるために追い出したんだって」


ほう
社会勉強ね

まぁあながち間違っちゃいない


「違いますよ。俺から出て行ったんです。それで見つかって、捕まって……その証拠に鍵なんてかけて閉じ込められているでしょう?」
「……みんな、大きな犯罪でも犯してそれを潰す代わりに監禁したんだって言ってました……」


根も葉もない噂だなぁ
これだからほんと、女性って怖い

ストーリーメニュー

TOPTOPへ