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泣かぬ鼠が身を焦がす

第27章 苦あれば


そのまま身体を小さく揺らされて、多分声を掛けてくれてるんだろうけど


無理

もう目も開かない


俺の身体は糸が切れたように言うことを聞いてはくれず


「ーーー!!! ーーー!!!!」


耳元で叫ばれたのが何を言っているのかもわからないまま、俺の意識は暗いところへと沈んでいった



そして気がつくと俺は、真っ暗な場所に1人で寝っ転がっていた


夢か?
なんだこれ


明らかに現実ではありえない目の前の光景に、頭も妙に冷静に働く


夢にしては、つまんない夢だな


そんなことを考えて、身体を起こしながらテレビで人が見る夢について特集をしていたことを思い出した


確か、夢って目が覚める一瞬前にちょびっとだけ見てるものだとかなんとか……

だから俺はこれが終わったら目が覚めるのか
つーか俺さっきーーー


そこまで考えたところで


「!!」


いつの間にか俺の目の前に人影があったことに気がついた

スーツを身につけた男は俺を見下ろしてるみたいだけど、何でか顔ははっきりとしない


けど夢って不思議だよね
誰かわかるんだから


「……何で出てきたんだよ」


俺の問いかけに、そいつはーーー俺の父親でこの国の総理大臣はにやりと笑った

気がした

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