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泣かぬ鼠が身を焦がす

第28章 画竜点睛


持っていた水はベッド横の床に置いて、拓真さんはベッドの端に腰掛ける

その時俺の頭を流れるように撫でた


子ども扱い?
なんだよ、くそ


また拗ねモードに入る俺

けど拓真さんはそんなのお構いなしで俺のことを優しくベッドに寝かした

寝転がって、上に上げられた視界に映った拓真さんの顔が


「……なんで笑ってんの」


なんでかすごい笑顔

拓真さんは俺を抱き締めながら


「いや……」


と言った


笑ってない、とでも言うつもり?
笑ってるから!!
明らかに!!!


そうツッこもうと思ってた俺に、拓真さんは追加ですごい爆弾を投下してくる


「純が可愛くてつい」
「!?!?」


あまりの衝撃に目玉飛び出すかと思った


可愛い!?!?
なんだそれ!!!!


「可愛くない!!!!」
「可愛いよ」
「かわいくない!!」


拓真さんと俺との可愛い、可愛くないの押し問答は暫く続いて、最終的には


「可愛くーーっ!?」


拓真さんが俺の顔を自分の胸に埋めさせるという実力行使によって終戦を迎えた


勝負の決着には納得いかない

けど、拓真さんの腕の中が安心するから、それに免じて許してもいい

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