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泣かぬ鼠が身を焦がす

第29章 黒白を

純目線


目が覚めると目の前には拓真さんの胸板


あ、俺戻ってきたんだった


と実感すると同時に、昨日の甘えたな自分が恥ずかしくなって


「……」


静かに拓真さんから身体を離した

けど、その途中で俺の身体はズキン、と痛んで


「痛っ」


俺の口から声が出てしまった

すると、結構小さい声だったにも関わらず拓真さんの目がパチッと開く


「純!? 大丈夫か」
「だ、いじょぶ」


一瞬の痛みなんかよりも拓真さんのその反応の良さにびっくり


寝てなかった?
いや、そんなことないよね
さっきちゃんと寝息たててたし

起きる直前だったのかな


そんなことを考えながらチラッと時計を見て、俺は心臓が止まるかと思った


「!? 拓真さん大変!! もう10時だよ!! 遅刻!!!……っ痛て……」


ぐっすり寝すぎて時間の感覚がなくなってたけど、普段拓真さんが出勤する時間なんてとっくに過ぎてる

そのことに焦って大声で喋ったらそれでまた俺の身体が痛んだ


弱くなり過ぎだろ……
俺の身体……


痛みに小さくなると、拓真さんが俺の背中をさすってくれる


いやいや、そんなことしてる場合じゃないよ拓真さん!
嬉しいけど……!

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