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泣かぬ鼠が身を焦がす

第29章 黒白を


ぐ……ぅ
うぐぐぐ……

やるしかない、のか……?


「……目、閉じて……」
「ん」


俺の言葉に拓真さんは素直に目を閉じた

長い睫毛が伏せられた目蓋を強調して、無駄にその整った顔に目がいく


あーーもう緊張する

でも俺も男だから!!!
やる時はやってやる!!!!


俺は拓真さんの顔を両手で挟むようにして持った


「……っ」


少しずつ顔を近づけ

拓真さんの唇と触れる直前に目を閉じる


そしてちゅ、と唇が合わさった


あぁぁぁぁあ!!!!
やった!!!俺ちゃんとやった!!!


燃えそうなほど熱い顔をゆっくりと離す

すると拓真さんも同じくらいに目を開けたらしくて間近で目が合った


は、はずかし


そう思っていると拓真さんが俺のことを引き寄せてもう1度、今度は拓真さんからのキスをしてくる


「ん、……ん」


しかもそれは1度じゃ全く済まなくて

何度も唇で食むように俺の唇を吸った

後頭部がじん、と痺れる感覚がして口の中に唾液が分泌される

それを拓真さんが全部舌で掬い取った


唇が離れると拓真さんは間近で俺を見つめて


「純……シたい……」


と言ってきた

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