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泣かぬ鼠が身を焦がす

第29章 黒白を

拓真目線


裁判が決まって、俺はある知り合いに連絡を取っていた


「あぁーーーわかった」


古くからの知り合いで、信頼のおけるその男はとある出版社で記者をしている


『しかしすごいネタだよなぁ。俺としては、杉田の裁判が失敗してこのネタ報道出来る方がいいなーなんて』
「馬鹿言うな。裁判を失敗させないための用意なんだ。縁起でもない」
『悪かったって』


FAXで送られてきた記事の下書き

そこには数々の動かぬ証拠が並んだ現職の総理大臣の所謂スキャンダルがリークされている


純の存在がスキャンダルになるなんて俺としては納得いかないが、金と名誉に目がない人間にはそれを揺るがすためのネタが必要なんだ

仕方ない


『で? いいの、これで』
「あぁ、充分だ。助かった」
『いいえ。杉田んとこの新商品情報どこより早く貰ったりしてるし、これぐらいお安い御用だよ。持つべきものは友、ってなー』
「はは、そうだな」


新商品の情報なんてものはどうだっていい
いずれ告知するものなら、多少知り合いの助けになった方がいいしな

とにかく、準備はこれで出来た
後は俺に爆弾を起動するボタンがあるということをわからせればいいだけ

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