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泣かぬ鼠が身を焦がす

第29章 黒白を


服を着せられている時も、ドライヤーで髪を乾かしている時も、純は眠ったままだった


余程疲れさせたらしいな

こんなに疲れさせるなんて
俺も色々と溜まっていたのかもしれない


申し訳ない気持ちと、それを受け入れてくれたことが嬉しい気持ちの両方が湧いてくる


自分も服をしっかりと着て、純を寝室に運んだ

その間も純は多少の身じろぎはするものの起きることはなく、静かなまま

俺は純を抱き締めて、自分の疲れを癒すためにも目を閉じた



この日俺が純との繋がりを再確認できたことは俺の精神面でかなりの安定に繋がった

純なら、俺がどんな人間でも受け入れてくれるということがわかったから

だから裁判の日が来ることも、全く恐ろしくなくなった


そして裁判の日

俺が見立てたスーツを着た純は緊張した面持ちだった

本人は自覚していないみたいだったが、表情が若干固まっている

それに、入った時からきょろきょろと周りを見回していた


そんな様子で大丈夫か


と思いはしたが、今更どうこう出来るわけもなく部屋へと入った

純の両親は既に来ていて、俺の姿を見るや否や俯いて目をそらす


当たり前か
脅しの内容はなかなかのものだからな

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