
泣かぬ鼠が身を焦がす
第33章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー2)
そうして私が三村様に連れていかれたのは、ラブホテルでした
そこで私の頭にある可能性が過ぎります
もしかして先ほどのようなことで私を油断させ、ホテルに連れ込んだところで以前のように無理やり行為に及ぼうとしているのでは
もし本当にそうだとしたら、また気を引き締めて警戒しなくてはいけませんね
鍵の掛けられたホテルの一室で私は三村様の動向を観察します
そして、私の予測が全くの大外れであることかわかったのはそのすぐ後のことでした
「あの……」
私を振り返られた三村様は私の胸の辺りを指差します
「?」
始め私自身のことを指しているのかと思い意図がわからなかったのですが、三村様が自分のネクタイに手を持って行って下さったことで漸く理解できました
「あぁ、ネクタイですか。取れ、と言うことですよね?」
「……」
三村様は恥ずかしそうにしながら頷かれます
特に会話をするでもない私達のせいで、シンとした室内にネクタイを引き抜く衣擦れの音が響きました
「どうぞ」
それを何かに使うのだと勘違いしていた私が外したネクタイを差し出しますと、三村様は首を振られて自らベッドに寝転ばれます
