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泣かぬ鼠が身を焦がす

第7章 馴染めば思う


俺の考える間もない拒否に、「どうして」と杉田さんは顔を顰める


どうしてって
どうして?

熱上がるとあんまり風呂入らない方がいいっていう理由なんて知らねー


俺が答えられなくて黙っていると、杉田さんが掴む腕に少しだけ力を入れて熱弁してきた


「熱がある時に風呂に入らない方がいいというのは昔からの言い伝えで、特に根拠がないものなんだ。最近は逆に風呂に入った方がーーー」
「あーもーわかったよ!入るのね」
「あぁ」


寝る前と寝た後で面倒くささが違うのはどうしてなの
あんた本当に杉田さん?中身入れ替わってない?


「熱下がってそうだし、大丈夫だろ」
「あぁ。さっきも言ったが、体調はもう全く問題ない」
「あ、そ」


勝手にしなさいもう


俺が杉田さんの手を振り払ってスタスタ歩き出すと、今度は「ノラ」と声で呼び止められた


「なに?まだあんの?」
「肩を貸してくれないのか?」
「はぁ?さっき体調には問題ないって言ったよな?」
「熱が下がりたては足がフラつくんだよ。頼む」


なんなの!?!?
昨日から人肌が恋しいとか足がフラつくとか
俺そんな風になったことないけど!?


だけど、頼むって言われたら無下にできなくて

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