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泣かぬ鼠が身を焦がす

第8章 網の目にさえ


「ねー茜さん」
「なぁに?」
「最近さぁ、杉田さんおかしくね?」


今日は朝から商談があるとかで出掛けて行った杉田さんのいない間に、茜さんに聞いてみる


最近は朝ごはんとかも一緒に食うし
家に帰ってんのか?あの人


「社長が?そーだねぇ。なんか最近ご機嫌だよねぇ」
「もーさー、面倒くさいよあの人」


俺の愚痴に茜さんは笑って「ノラにだけだよ」と言う


いやむしろ俺以外にも振り分けてくれれば良いんだけど
俺ばっかり大変

セックスはしてないし
最近はもっぱら隠れてするオナニーで凌いでて、中学生かなんかに戻ったみたいだ

俺は家政婦として飼われてんじゃねーぞ


まぁ、あの……
セックスに関しては俺が拒んだから手出してこないんだろうけど


「あ、あとさぁ……」
「うん?」
「この前持ってきてもらった風邪薬効かないや」
「えー本当?まだ気持ち悪い?」


んー……


「気持ち悪い、っていうか……なんだろ。胸がザワザワする?」
「更年期かな?」
「俺まだ若いんだけど!?」


冗談だよって笑う茜さんはいつもと変わらず可愛いけど、俺としては前から続く体調不良の原因がわからずもやもやしていた

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