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泣かぬ鼠が身を焦がす

第8章 網の目にさえ


でもこのもやもやも、ずっと続いてるわけじゃなくて
したりしなかったりの気まぐれな感じ


「あと最近はたまーに心臓が刺されたみたいに痛い時があって……」
「心臓? それはちょっと怖いね」
「だよねー? ズキン、ってさ」


うーー、と唸りながら机に突っ伏すと茜さんが頭を撫でてくれた


「お医者さんに診てもらったほうがいいのかなぁ」
「俺注射無理だよ」
「男の子なのに?」
「そういうのは男女関係ないのー」


拗ねて頬を膨らませると、撫でていた手で頬を潰される


「ちょっと調べてみるけど、酷くなったら言うんだよ?」
「うん。ありがとー茜さん」


俺がお礼を言うと、何故か茜さんは「ふふっ」と笑い声を漏らした


え、俺なんかした?


「なに?」
「や、なんでもないの。ただ……」
「ただ?」
「ズキンって胸が痛むのって恋してるみたいねって思って」
「!!」


恋、って

うわうわ
なんか顔熱い……!!


恋とか!恋とか!!
俺そんなピンク色の単語眩しくて口に出来ないんだけど!!


「ノラ顔真っ赤。もしかして図星?」
「んなわけねーじゃん!! こっ……そ、その単語に慣れてなかっただけ!!!」

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