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偽りの向こう側

第6章 ライン二日目

朝から浮き足立っていた。

それは嵐のおかげ。

キスのスタンプのおかげ。

思い出しただけで顔が自然とほころぶ。

一年振りに息子の瑛士と食卓を囲っている。

亡くなった夫である直樹が生きていた頃を
彷彿させるようだった。

「いいことでもあった?」

食事を終えた瑛士の湯飲み茶碗に
急須でお茶を注ぐ私の手が止まった。

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