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(旧)短編☆中編小説集

第9章 誘惑~からのLOVE①

・北山side

北「取り合えず、何か適当に見つくろっちゃって下さい」

バーテン「かしこまりました」



それならゆっくり飲みつつ出川さんが来るのを待つ事にするわ。

時計の針は、7時50分を指していた。

30分後―



北「まだ、来ないなぁ」

バーテン「失礼します、お隣からです」

北「へっ?」

バーテン「お客様とお近づきになりたいという意味ですよ」

北「あぁーはいはい、どうもね」



そうグラスを上げ礼をするとニコッと微笑むダンディーなおっちゃん。



北「むむっ、これ美味い」

バーテン「それは良かった」



数分後…



バーテン「またまた失礼します、あちらのお客様からです」

北「あっ、どもども、いいのかなぁ貰ってばかりで」

バーテン「宜しいのではないですか、おモテになる証拠ですし」



モテる?

少し酔いが回って来たのか頭が回らず。

それからも何故だか俺は、いろんな人からカクテルをゴチになったんだが。

その意味を全く深くは考えずにいたんだ。

が、1時間後さすがにおかしいと気づく。



北「あのーここと似たような名前の店って」

客「あるよ反対口にね」

北「へっ?」

客「それより兄ちゃんどこかで見たような顔だなぁ」

北「あぁ、ハハッ」



ヤバい。



客「テレビかなんかに出てる?」

北「ソックリさんです」



ベタな言い訳。



客「そうだよな、こんな店に有名人が来るわけないし」



こんな店?



北「あっ、つうか、さっき言ってた反対口って」

客「あぁ、friendsっていう飲み屋があるんだよ」



げげっ、もしかしてそっち



客「しかし可愛い顔してるね」

客「おやおや、みんな狙っているのか?」

客「だってね、この兄ちゃん貰ったカクテル全部飲んじゃうんだもん」

客「それじゃあ誰を選んだのか、分からないじゃないか」

客「確かに、全員を相手にするつもりじゃないだろうしさ」



えぇーっ!?

なんだよ、この会話?相手ってなに選ぶってどういうこと。



客「兄ちゃんそろそろハッキリして貰えないかね?」



そう、ここはいわゆるゲイの溜まり場で。

気が合ったらホテルへ直行なんて珍しくない。

その手の人達がたむろしている発展場のような所だったんだ。





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