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(旧)短編☆中編小説集

第9章 誘惑~からのLOVE①

・北山side

北「まっ、待って下さい!俺、そんなつもり全くないですから」

客「今更それはないだろ」

客「期待させといて」

北「いやいや、だって」



どうしよ…

とにかくなんとかして逃げ出さなくっちゃ。

頭の中は、それしかなく。



北「…わっ、分かりました決めます。んでもその前にトイレに行かせて下さい」



ダダダダッ、急ぎ個室へと向かった。

幸いな事にこの店のトイレは出入口の側にある。

なんとかして抜け出し何とかしてさ。

考えあぐねていた、その時

バンッと勢いよくトイレの扉が開き。

驚いて前を見たら―



藤「‥‥‥」



えっ、藤ヶ谷?俺は幻でも見ているのか。

ゴシゴシゴシ、手で眼を擦ってもう1度よく見る。



藤「‥‥‥」



やっぱり見間違いでもなんでもない。

藤ヶ谷は眉間にシワを寄せめっちゃ怖い顔で俺のこと睨んでいてよ、



北「ぁ…‥」



じわりジワリと近づいて。

なんでここにいるんだわ?ドンッ、うおっち!?

ぷーんと漂う甘い大好きな香りと、酔いが回って眼が眩む。



北「…なっ‥なに?…ど‥したの」



ドキドキドキ―

まずい、こんな近くでこいつの顔を見たら心臓が耐えられないわ。

どんどん近づいて来る藤ヶ谷の顔。

その瞳が俺を見つめ、その唇が…



藤「北山」



俺の名を低い声で呼んだ。



藤「お前、こんな所でなにやってるの?」

北「あ、うん」



まともに顔が見れない。



藤「ったく帰るよ」

北「えっ?」

藤「それとも襲われたい」



いえいえ藤ヶ谷さん、ブンブンと首を横に振る。

ドンッ!うおっち、またか



藤「なんだったら俺がここで襲ってやろうか?ニヤリ」

北「へっ?ドキッ」



なっ、なにを言ってるんだわ!?

とたん、グイッと顎を持ち上げられて。

ちょっ、ちょーっと待て、本気か?

再び近づいてくる藤ヶ谷の唇。

わわわっ、ヤバい、help、helpミー横尾さん。

その瞬間チュッと柔らかな感触が俺の口に触れてよ。

思わずギュッと、その腕を掴んだら引き寄せられ強く抱きしめられる。





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