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(旧)短編☆中編小説集

第10章 誘惑~からのLOVE②

・藤ヶ谷side

目を覚ましたら北山の姿は既になく。

帰ったのか、くっ、断りもなしに。

むらむら、ムラッと。

またもや悪魔が、顔をもたげた。



藤「くっそー」



近くにあった枕を思いっきり壁へと投げつける。

トルルル―

が、携帯の着信音でハッとしディスプレイを見れば。

わた?



藤「もしもし」

横「太輔、ひとり?」

藤「あ、うん」

横「何してたの?」

藤「さっきまで寝てた」

横「おや珍し、クスッ」



渉の声が、俺を本来の自分へと引き戻す。



藤「俺だって寝落ちする事くらいあるよ」

横「明日、ショッピングにでも行かない?」

藤「いいけど」

横「じゃ10時に…」



まるで何かを感じ取ったかのような、わたからの誘いの電話に。

いやきっと感じているのだろうけど。

俺と北山との間の異変を、勘が鋭いからさ。

でも、それに救われていることも事実で。

わたが居なかったら俺は、狂気に走っていたかもしれない。

そう思う―

触れてはいけなかった本当は、ずっと我慢していれば

想いが爆発することはなかっただろう。

今になって後悔しても意味ないけれど。

“触発”

そういう言葉があるがまさに俺はあの時そうだったんだ。

あいつを取られたくはない触られたくないと。

そう思ったら理性より感情が先走っていた。

結果―

今、こうして自分を苦しめている。





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