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(旧)短編☆中編小説集

第10章 誘惑~からのLOVE②

・北山side

藤ヶ谷?えっ、その温もりはいつの間にか消えていて

起き上がりキッチンの方へ行くと。

何故だか、赤いエプロンを着ている後ろ姿が見え。

それを、ジーッと見つめていたらクルッと後ろを振り返り。



藤「おはよ起きた、ニコッ」

北「藤ヶ谷ご飯作ってくれてるの」

藤「うん、もう少しでできるから待っててね」



寝ぼけ眼を手でこすりテーブルの椅子へと座る。

暫くし…



藤「はい、お待たせー」



目の前に並べられた豆腐と油揚げの味噌汁に御飯。

玉子焼きにサラダ、それと納豆。



北「うおっ、納豆だ!」

藤「北山さ好きなのは分かるけど納豆は俺が作った物じゃないからね、クスッ」

北「当たり前だわこれ作ったんだとしたら」

藤「作ったんだとしたら」

北「そっ、尊敬する」

藤「ぷっ、あははは」



こんな朝を2人で迎えられる日が来るだなんて思ってもみないでいた。

今日までの日々がクルクルと頭の中で回り。



藤「くっ…うっ‥」

北「どうしたの?藤ヶ谷」

藤「なんでもない、ちょっと見ないで」



とつぜん下を向き、何やら堪えている様子の藤ヶ谷。

お前もしかして泣いている



藤「俺さ…クッ」



そして、今度は天井を仰ぎ



藤「ずっと思っていた」

北「なにを?」

藤「北山、いつも帰っちゃうから、クッ」

北「えっ」

藤「朝…まで一緒‥にいてくれた事なかったじゃん」

北「それ…は」

藤「やっぱ、やっぱ俺の事なんかって」



ギュッ、そうだったんだ。

だからいつも、お前のマンションだったってわけ。

俺、なんにも気づいてやれず。



北「これからは何度でも、一緒に朝を迎えてやる」

藤「んっ?やる…なんで、上から目線なんだよ」

北「はっ?」



グイッと今度は、逆に引き寄せられる。



藤「お前は、俺の恋人なんだから一緒にいるのが当たり前だろ」

北「はっ、はい藤ヶ谷さん」

藤「太輔」

北「へっ?」

藤「たーいーすーけ」

北「太…輔」

藤「ひろベットへ行こう」

北「ぁ…‥」



言うが否や、抱き上げられ寝室へと向かう。





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