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(旧)短編☆中編小説集

第12章 素直になれなくて

・北山side

それは突然の出来事だった



スタッフ「少し休憩に入りまーす」



某撮影現場でちょっとした合間に一息を入れていた時



藤「危ない北山!」

北「えっ」



その声で振り返ったのと、藤ヶ谷が何かを避けさせるみたいに。

俺の身体の上へのし掛かって来たのがほぼ同時で。

チュッ―

倒れた拍子に柔らかい感触が唇に触れたのは。

ガッシャーン!

そして、なにが起きたのかすぐには分からず固まってしまっている俺の真横に。

上から落ちて来たんだろう照明器具があってよ。



藤「わっ、悪い」

北「…いや」



とたん気恥ずかしい空気が俺らの間に流れる。



横「大丈夫か2人とも」

玉「ミツ」

宮「ガヤさん」



それを見て慌てて駆け寄って来るメンバーたち。



千「こっえぇー当たってたら大怪我してたとこだ」

ニ「ガヤが気づかなかったらと思うとゾッとする」

スタッフ「すみません怪我してないですか」



瞬間、ハッと我に返り身体を離す俺と藤ヶ谷。



藤「あっ、大丈夫です北山は」

北「あっ、あぁーなんともねぇよ」

宮「良かったぁ」



けど撮影の方は、このあと上手くいってよ。



ニ「お疲れ様でした」

千「ニカ、飯でも食ってかね」

ニ「そうだな」

横「それじゃ俺達も行く」

藤「あぁ」



仕事は無事、終了し。



玉「一緒に帰ろミツ」

北「おう」

宮「あれ俺達はメシ食ってかないの」

玉「腹へってるんだ」

宮「そりゃいっぱい働いたからね」

北「んじゃ、焼き肉にでも行くか」

宮玉「賛成」



それぞれの場所へと帰って行ったんだ。

しかし―



玉「どうしたの」

北「えっ」

玉「さっきから、唇ばっか触ってる」

北「そう」

宮「荒れてるならクリーム貸すよ」

北「いい、つうか持ってるし」



お前と間接キスなんかしたくないわ。

キス…

とたん脳裏に浮かぶあいつの顔。

バカなに意識しているんだよあれはアクシデントじゃん。



玉「それにしても、今日はビックリしたな」

宮「何で落ちて来たんだろうね」

玉「ああいうのってさ日頃からチェックしておくべきだよ大丈夫かどうか」



幸いにも他の連中には見られていなかったみたいで。

ホッとしながらも俺の心はザワついていた。





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