End of summer~陽炎~
第1章 序章
「ねぇ、あのさ。夏は好きかい?」
強い日差しの中少年は目を細めながら目の前にいる少女に問い掛けた。
少女は少し首を傾げ猫の頭を撫でながら答える。
「夏は嫌いかな」
「ってこれ前にも言わなかったっけ?」
少女が少年に聞き返すと、少年は「え?」という顔をした。
「そうだっけ?」
「そうだよ」
まだ納得出来ないまま少年は頷いて、少女から視線を外し頭上に広がる蒼空を仰いだ。
「青いね」
「何が?」
「んー、空が、だよ」
少年の言葉に少女も猫を抱きかかえながらも一面に広がる蒼空を仰ぐ。
「そうだね」
そう漏らして少女はふ、と悲しそうな表情を浮かべる。何を思っているのか切なそうに自分の胸を抑え深呼吸をした。その姿を見ていた少年が怪訝そうに顔を歪め
「どうしたの?」
と少女に聞いた。少女はそれに「ん~…別に」と素っ気なく答えてからまた空を仰いだ。
──────────夏なんて来なければいいのに。
────────────何回も何回も思った。
───────それでも夏は繰り返される。
────────────何年何十年経ってもずっと…
「夏希、もういいよね。許して…」
早く忘れよう。あの出来事は。ねぇ、夏希はいいの?私は嫌だよ。誰かを恨んだまま生きるなんて。そんな人生悲しいよ。だから無かった事にしよう。全て無かった事に────────。
強い日差しの中少年は目を細めながら目の前にいる少女に問い掛けた。
少女は少し首を傾げ猫の頭を撫でながら答える。
「夏は嫌いかな」
「ってこれ前にも言わなかったっけ?」
少女が少年に聞き返すと、少年は「え?」という顔をした。
「そうだっけ?」
「そうだよ」
まだ納得出来ないまま少年は頷いて、少女から視線を外し頭上に広がる蒼空を仰いだ。
「青いね」
「何が?」
「んー、空が、だよ」
少年の言葉に少女も猫を抱きかかえながらも一面に広がる蒼空を仰ぐ。
「そうだね」
そう漏らして少女はふ、と悲しそうな表情を浮かべる。何を思っているのか切なそうに自分の胸を抑え深呼吸をした。その姿を見ていた少年が怪訝そうに顔を歪め
「どうしたの?」
と少女に聞いた。少女はそれに「ん~…別に」と素っ気なく答えてからまた空を仰いだ。
──────────夏なんて来なければいいのに。
────────────何回も何回も思った。
───────それでも夏は繰り返される。
────────────何年何十年経ってもずっと…
「夏希、もういいよね。許して…」
早く忘れよう。あの出来事は。ねぇ、夏希はいいの?私は嫌だよ。誰かを恨んだまま生きるなんて。そんな人生悲しいよ。だから無かった事にしよう。全て無かった事に────────。