End of summer~陽炎~
第2章 生け贄編
「あの…先生質問してもいいですか?」
遠慮がちに手を上げたのは…水川千夏という女子で、普段は大人しくあまり自分の意見をハッキリ言うタイプではない。
「あぁ、何でも聞いていいぞ」
「去年は…こういうのやりませんでしたよね? どうして今年になって…いきなりなんですか?」
水川さんの言葉で殆どの生徒がうんうん、と頷いた。
僕もその中の一人だ。
確かに去年の夏は何もなかった。だからどうして今年になって…?
「水川、いい事を聞いてくれた!」
偉いぞ、と言わんばかりに先生は教卓を強く叩き、それに何人かの生徒は「ひっ…!」と悲鳴を上げて身を小さくした。
その事に気付かない先生は嬉しそうに気持ち悪いくらいニコニコと笑って
「実はな、今日やる肝試しは10年に一度の特別な行事みたいなんだ。校庭に大きな桜の木があるだろ?」
先生はそこで一旦止めると、窓の側まで行き大きな桜の木"鬼桜"を指差した。
生徒達が一斉に騒ぎ出す。それもそうだ。鬼桜のあの"噂"を知っていれば誰だって何も思わない訳がない。
「あの桜の木には神が宿っていて、その神にお告げをしなくてはいけないんだよ。それが今日。やらないと神が怒って町を消してしまうらしいんだ。だから町を守る為に"アレ"をやろうと思う」
先生が"アレ"と言った瞬間、目が怪しく光った。
夏音もそれに気づいたらしく僕の方を振り返り口パクで『後で話がある』とだけ伝えるとすぐに前を向いて元の姿勢に戻り先生の話を適当に聞き流しながら窓の外を見つめた。
遠慮がちに手を上げたのは…水川千夏という女子で、普段は大人しくあまり自分の意見をハッキリ言うタイプではない。
「あぁ、何でも聞いていいぞ」
「去年は…こういうのやりませんでしたよね? どうして今年になって…いきなりなんですか?」
水川さんの言葉で殆どの生徒がうんうん、と頷いた。
僕もその中の一人だ。
確かに去年の夏は何もなかった。だからどうして今年になって…?
「水川、いい事を聞いてくれた!」
偉いぞ、と言わんばかりに先生は教卓を強く叩き、それに何人かの生徒は「ひっ…!」と悲鳴を上げて身を小さくした。
その事に気付かない先生は嬉しそうに気持ち悪いくらいニコニコと笑って
「実はな、今日やる肝試しは10年に一度の特別な行事みたいなんだ。校庭に大きな桜の木があるだろ?」
先生はそこで一旦止めると、窓の側まで行き大きな桜の木"鬼桜"を指差した。
生徒達が一斉に騒ぎ出す。それもそうだ。鬼桜のあの"噂"を知っていれば誰だって何も思わない訳がない。
「あの桜の木には神が宿っていて、その神にお告げをしなくてはいけないんだよ。それが今日。やらないと神が怒って町を消してしまうらしいんだ。だから町を守る為に"アレ"をやろうと思う」
先生が"アレ"と言った瞬間、目が怪しく光った。
夏音もそれに気づいたらしく僕の方を振り返り口パクで『後で話がある』とだけ伝えるとすぐに前を向いて元の姿勢に戻り先生の話を適当に聞き流しながら窓の外を見つめた。