この関係、ありですか?
第1章 キミとの初めて。
「お疲れ様です!」
汗を流す俺達に、素早くタオルと飲み物が渡される。
うちのサッカー部の後輩で、マネージャーの波ちゃん。
ツインテールをお団子にしたミッキーマウスの様な髪型が特徴の、少し天然な女の子。
実は彼女の事が好きだけど、殆どの部員が彼女を狙っているから、安易に手出しは出来ない…。
「よし、今日はここまで!」
「「はい!」」
「お疲れ様でした!」
「「お疲れっした!!」」
一応部長だし、簡単に締めて終わらせる。
近くの長椅子に座って汗を拭いていると、いい香りのする子が近くに来た。
「薮先輩、お疲れ様です!」
「あ、波ちゃん…」
「タオル…、結構汗吸ってますよね? さっきそのまま渡しちゃってすみません! 取り替えますか…?」
そう言って、新しいタオルを差し出す彼女。
「いや、シャワー浴びてくるよ。 空いてるかな?」
「あ、今全部埋まっちゃってますね…」
部室の中にあるシャワールームの方を見て、少し申し訳なさそうに言う彼女に、「そっか」とだけ言うと、顧問の先生に提出するノートを開いた。
練習の記録を書いてきたノート。
俺が書いて、一言波ちゃんが書いて提出する、という事を繰り返してきた。
毎回思うのは、波ちゃんの字を俺の字の隣に書かせる先生が鬼だという事。
いや、波ちゃんの字が綺麗で、何か申し訳なくなってくるからやめたい…。(笑)