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【イケメン戦国】とらぶる・とらべる(信長・政宗・幸村)

第5章 5話~最終章~

「こんばんは、涼莉さん。とりあえず、これは信長様と政宗さんの着物と刀。」


「一体…どういうこと?」


「詳しいことは俺にも分からない。間違いなくワームホールは出現した。でも今までのタイムスリップとは少し違うようなんだ。」



出現したワームホールから、私たち2人だけではなく、信長様、政宗、幸村もタイムスリップに巻き込まれた事、そして信長様と政宗だけでなく、幸村もタイムスリップの記憶がないという事。



佐助くんは、真面目な表情で説明を続ける。



「今回のタイムスリップでは、タイムスリップしていた時間も元に戻ってる。幸村たちがタイムスリップに巻き込まれたことで、史実が変わらないように、今までとは違う宇宙力学的な力が働いたんだと思う。」



「それで、何で佐助くんが信長様たちの着物と刀を持ってるの?」



「幸村の着物や刀と一緒に落ちてきたんだ。人だけじゃなく、涼莉さんの部屋に置いた物もタイムスリップしたらしい。歴史上の人物の着物や刀が、涼莉さんの部屋にあるのはおかしいから。」



「宇宙物理学のことはよく理解できないけど……着物と刀どうもありがとう!」


「俺と幸村は、2軒隣の宿にいるから。何かあったら知らせて。」


「うん!ありがとう。幸村によろしくね!」



佐助くんから受け取った着物と刀を持って、私は部屋へ駆け戻る。


「着物と刀、落ちてたみたい!良かったね、政宗。」


「いーや、俺はこの風変わりな着物を着て城に帰る。気に入った!」


「政宗。遅くなった挙げ句、そのような着物を着て帰れば、秀吉が心配して騒ぐに決まっておる。秀吉の説教は長いぞ。」




窓から見える安土の景色に、現代の面影はない。


歴史上、タイムスリップのことはすべて消えてなくなるらしい。
そして、信長様、政宗、幸村の記憶からもーーー。


でも。
私は覚えている。


皆と一緒に行ったファミレスも、新幹線も、秋葉原も。

目を輝かせ、新しいものを見る皆の眼差しも、ただ賑やかに騒いだことも、私の胸に鮮明に焼き付いて、生涯忘れることはないだろう。


この時代の中で、永遠に私の心の内に秘めたままとなってもーーー。


▶ 完 ◀
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