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教団 アノニマス

第1章 罪と罰

ーー3ヵ月後ーー

毛瀬法子は事件のショックから立ち直り、盛財閥の後継者として盛不動産の社長に就任する事となった。

急遽、マスコミの要請で記者会見を開く事に。

創業以来、初めての女性社長の誕生の瞬間だった。

事務所の中で来客用のソファに座って、佐村がコーヒーを飲みながら新聞を読んでいる。

新聞記事には大きく、法子の社長就任の写真が掲載されている。

その記事を閲覧した佐村が、ほくそ笑んだ。

「おめでとう」

ニンマリと、笑みを浮かべながら呟いた。

しかし、佐村にはどうしても気掛かりな事が頭から離れない。

盛愛留である、あの時以来全く消息が掴めないのだ。

佐村はまだ、愛留の行方を捜している。

「きっと、何処かで生きている」

佐村には、確信があった。

それはあの時、教団アノニマス本部で教祖と愛留が対峙していた時、佐村は観た。

愛留の身体から、マグダラのマリアと悪魔ベルゼブルの姿が現れたのだ。

マグダラのマリアは、悪魔の化身?

キリストは、山上の誘惑では悪魔に勝った。だが、マグダラのマリアの誘惑には勝てなかったのではないか?

キリストが処刑されたのも、ユダだけで無くマグダラのマリアにも一因があったのかもしれない。

新約聖書の最後にヨハネの黙示録があるが、その中で淫らな女が大いなる都バビロンを滅ぼすとある。

バビロンというのはアメリカの事ではないか、そうするとこの先アメリカに必ず女性大統領が誕生する。

その女性大統領がアメリカ合衆国を滅亡へと導く。

その上、キリスト教会までも・・・。

ベルゼブルに、支配されたマグダラのマリア。イエスの次は、全人類を十字架に。

キリストがそうであったように、十字架にかけられた人々を下から眺めるマグダラのマリア。

マグダラのマリアの生まれ変わりである愛留にも、ベルゼブルが憑いていた。

親方が惚れた女は、部下も惚れるものだ。ユダの横恋慕に端を発した痴情のもつれ。

マグダラのマリアはユダをも誘惑し、キリストを裏切るようそそのかした。

自分の犯した罪に苛まれたユダは、キリストやマリアと共に心中を図ったのではある

まいか。

どうしても佐村には、そう思えてならなかった。








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