好きになったらダメだよ
第7章 一緒に作ったらいいじゃん?
どうしよう……
始業前に数学準備室で問題集を広げて、さっきからずっと試験問題を思案している。
結局、私の作ったものはたたき台になって、最終的には数学教師全員で決めるんだけど
それでもやっぱり、それなりのものを作りたいと思う。
「愛莉ーおはよう。」
ドアが開いて顔を見せる伊都。
「おはよう……。」
彼がこうやって朝会いに来るのは、日常茶飯事になってしまった。
会いに来るだけじゃない。
伊都は迷わずデスクに座る私を背後から抱きしめる。
「仕事、忙しそうだね。」
耳元で囁かれる声。
本当は注意しなきゃいけないのに……
でも……
私は椅子から立ち上がって、自ら伊都の腕の中にすっぽり収まってしまうのだ。