好きになったらダメだよ
第7章 一緒に作ったらいいじゃん?
「愛莉、しばらく会うのよそうと思うの。」
「えっ?」
はっと我に返って目を開けると、伊都が真剣な面持ちでこちらを見ている。
「テスト、頑張りたくて。」
「あっ……」
そう、今日でテスト2週間前を切った。
明日あたりから部活もストップがかかる。
「テスト終わったら、また愛莉と一緒にいれるし、2週間は頑張ろうと思うの。」
「……。」
伊都の提案は教師としては喜ばしいことだ。
でも……
もし私が教師じゃなかったら、ぽっかり穴が空いたような、隙間風が吹き込むような話だ。
「分かった!私、応援してるよ!」
態とらしく明るい声を出し、胸の前でガッツポーズを作る自分。
寂しいなんて、口から滑り落とすわけにはいかない。
私のせいで、伊都の理系行きの話がなしになるとか、絶対に嫌だし。
「ありがとう。ちゃんと終わったら会いに来るから。」
笑みを漏らして、額にキスを落とす伊都。
私は……ただ彼を信じて応援するしかない。