好きになったらダメだよ
第3章 声は出したらダメだよ?
朝、目をさますとそこは見知らぬ天井だった。
円形のシーリーングライトとクリーム色の壁。
寝返りを打って、そこが伊都の部屋であることを思い出した。
だけど……
伊都がいない。
昨夜、一緒にベッドで横になった。
エッチのあとの伊都は優しくて、ギュッと私を抱きしめてくれて、その腕の中で寝た。
……伊都、どこ行ったんだろう?
布団を跳ね除けて、フローリングにつま先から降りると、ラグの上に私の服が畳まれて置いてあった。
それからテーブルには置き手紙と鍵、朝ご飯と思われるプレートにのったクロワッサンとレタスを添えたスクランブルエッグ。
〈おはよう。ゆっくり寝れたかな?バイトがあるので、先に出ます。服は洗濯しておいたから。朝ご飯、もし良かったら食べてね。あと、部屋を出るときはその鍵でしめてくれたらいいから。〉
なんじゃこれ!!
今まで付き合った中でも、こんな男の人いなかったよ!!
セフレなのに…いや…生徒なのに…。
このまま溺れてしまう。
彼から逃れられなくなりそうだ。