好きになったらダメだよ
第4章 大人って大変だね?
伊都との課題は10日分あり、今日がその最後の提出日であった。
「おはよー。」
いつもと同じ気怠い挨拶で、変わらない朝だと思ったのに。
「愛莉せんせーい!おはようございます。」
キャピッとした高いソプラノの声。
パーマをあてたフワフワの柔らかい髪を背中まで伸ばし、前髪しちさんに分け、向日葵の形をしたピンを止めている。
瞬きをする度に、マスカラを塗った長い睫毛がパタパタと動く。
刈谷真鈴(カリヤ マリン)。伊都と同じクラスの女生徒で、私ともちょくちょく話をしたりする。
でも……
今日はなんで一緒なんだ?
「伊都にね、毎朝愛莉先生のとこに行ってるって聞いて、私も会いたくなって来ちゃった。」
なんじゃそれ……。
膝上10センチは短い制服のプリーツスカート。
朝から高いテンションにくらっと目眩すら覚えそうだ。