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好きになったらダメだよ

第5章 もし本当になったらどうする?



私も自分の席から回転椅子をひっぱてきて、伊都の斜め向かいの位置に座る。


「メイド・執事喫茶するって話。」


「ああ、うちのクラスの出し物ね。あれ、女子が意見を押し通したんだよ。メイド服が着たいとか言ってさ。こっちは、この暑い時期に黒服着ないとダメで大変だよ。さっきも着てたけど、限界感じて速攻で脱いだけど。」


だから制服が乱れてたってわけか。


「見たかった?俺の執事姿。」


「別に。」


……そりゃちょっとは気になるけど、見たいなんて言えない。


理性が勝っているときは、自分の気持ちに赴くままに素直になんてなれない。


「あとね、中夜祭の話もしてくれたよ。花火のジンクスを教えてくれた。」


「ああ、ずっと一緒にいれるってやつ?」


伊都はあまり興味がなさそうな風がある。


「うん。刈谷さん、すごく楽しみにしている感じだった。」


多分、彼女は伊都と花火を見たいと思っている。


お互い下の名前で呼び合って、よくつるんでいるし、教室や廊下でも談笑している姿を目にすることはある。

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