
好きになったらダメだよ
第6章 最低同士だからいいんじゃない?
「それでこの晴天の日に1日引きこもり?」
スーパーの袋に缶ビール6缶とチーズ鱈と柿の種を入れて、夏美が私の家にやってきたのは、土曜日の夕方17時を過ぎたところ。
「だって……」
前髪をピンで止めてデコを出し、グレーのスゥエット姿の私は、完全にだらけきった女だ。
この1週間、ずっと考え続けた。
自分がどうしたいか。
そうやって悩んでいる間も、そんなこと知る由もない伊都は、キスしてくれたりエッチしてくれたりした。
でも、その度に心臓がチクリと痛んだ。
「だけどさー、伊都くんだって彼女いるんでしょ?」
「多分。」
彼女じゃなくても、家に上げる仲の女の子はいるはず。
「じゃあ、お互い様ってことでいいんじゃないの?」
アンティーク調の木目のハッキリしたテーブルにどさっスーパーの袋を置く夏美。
袋から缶ビールを取り出して、1本私に投げてくれた。
「お互い様だから、彼氏いるけど今の関係でいるってこと?」
缶ビールのプルタブを開けてぐびぐびと飲んだ。
そう言えば今日はろくに飲食すらしていない。
缶ビールの炭酸が喉にしみこみ、渇きを癒してくれた。
