
好きになったらダメだよ
第6章 最低同士だからいいんじゃない?
でも、自分の中にどうしようもない罪悪感が生まれる。
伊都が笑ったとき、保と話したとき、このままじゃダメなんじゃないかって。
「親友として一言言わせてもらうけど」
夏美が豪快にチーズ鱈の袋を破く。
「恋愛に悩んでるときの人間って、結局自分が一番可愛いのよね。自分が傷付きたくない、嫌われたくない、一人になりたくないってね。」
「……。」
「私、この間、保くん見たよ。ラブホから女と出てきた。」
「えっ?」
ラブホから女と……?
なんで?ちょっと待って?
セックスはいいって……でも親に会って欲しいって……
思考がまとまらない。
「多分、愛莉と保くんの仲はもっと前に崩れ始めてたんだと思う。それに気付かせてくれたのが伊都くんだったってだけで。」
缶ビール片手に呆然とソファーにに座る私の横で、夏美はオレンジの布地のソファーに仰け反りながら、チーズ鱈をパクパクと口に運んでいる。
「愛莉には黙っておこうと思ったんだけど、あまりにもあんたが堂々巡りな話ばかりするから。」
「……」
「この事実を聞いた今、自分がどうするかもう一度考えてみたら?」
最後は諭すような夏美の言い方は、決して意地悪で言っているわけではない。
私に立ち止まるように教えてくれているのだ。
