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ぜんぶ二人ではじめて

第31章 深まる…

アルバイト、最後の日。

俺は深澤さんにナナちゃんのご両親と話をする場のセッティングを頼んだ。

夜、ご両親が深澤家に来てくれた。

「こんばんは。」

俺は真っ先に挨拶をする。

「こんばんは、ヤスくん。」

「お呼び立てしてすみません。」

「いや、良いんだよ。俺たちもキミと話すことは大歓迎だからね。」

お父さんが言う。

本当に有難い言葉だ。

「ありがとうございます。本題なんですが……。ナナちゃんの誕生日に、ナナちゃんと県内一泊で旅行に行ってきても良いですか?」

俺は緊張しながら結論から伝えた。

「旅行か。」

「はい。旅費は俺が持ちます。ナナちゃんにここ最近、寂しい想いをさせているので、最高の誕生日にしたいんです。」

「電車で行くの?」

お母さんが聞いた。

「はい。県境の観光地に行こうかと思っています。」

「ヤスくんがアルバイトしてるから週末会えないって、七海、寂しそうに話してたな。」

「うん。会いたいって言えばヤスくんなら時間作って来てくれるんじゃない?って言ったんだけど……アルバイトで疲れてるのに会ってほしいなんてワガママ言えないって言ってたね。」

お父さんとお母さんが俺の知らないナナちゃんを教えてくれる。

俺がナナちゃんに会いに行こうと電話すると、これから家族で出かけるとか、双子ちゃんのこと任されてるとか、、、

あれは、ウソだったんだ。

俺に気を使って……

ナナちゃん……。

胸がキューンとなった。

「それを知ったら、なおのこと……。前向きに検討していただけませんか?」

俺は二人にお願いした。

「良いよ。」

「うん!良いわよ!楽しんできてね?」

二人は笑顔でOKをくれた!

「ありがとうございますッ!」

俺は頭を下げた。

そして、

「一つお願いがあるのですが、聞いていただけますか?」

「もちろん。」

「ナナちゃんには、当日まで内緒にしたいんです。荷物は予め用意してもらえませんか?」

と、サプライズであることを伝えた。

「もちろん、良いわよ!七海の荷造りは私が責任持ってやります。」

「じゃあ、俺はその荷物をホテルに届けておくよ。」

お母さんとお父さんが全面的に協力してくれることになった!

強い味方ができた。

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