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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第14章 ちーちゃんの夏休み♡partⅥ♡






…──



乾いた海風が濡れた肌を悪戯に擽り吹き抜ける。

それから聖はなにもせず、しばらくその場で風にあたっていた。

乱れた息を整え、心とカラダの火照りを冷ましながら、めちゃくちゃに乱れたソファーのうえ…

窓の外の異国の景色をただ漠然と眺める。

膝の上にはついさっき、腕のなかで意識を手放したばかりの千隼がいる。

横たわる彼女の指にはあらゆる液体に濡れ、色を濃くした赤いリボン…

聖は主の留守中に完全に荒らしたリビングを軽く一瞥すると、その自ら結った赤い結び目に手を掛ける。

すると丁度そのとき…

遠くで扉が開く音がした。

それは、間違いなく訳アリの遣いに追い出したこの家の主の帰還を意味するものである。


「たっだいまー。瑠美チャン元気だったよー♪」

「んー…」


…まだ何も知らない主に対して、何も知らないような顔をして平然と返事を返す聖。


「ねぇ、それより聖ぃ!?ここに入れといたケーキなんだけど…」


するとなにやら建物のキッチンの方から主・葵のそんな声が飛んでくる。







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